(2020年6月)筆箱の話

長女(以下☆)が現在学校で使っている筆箱は、入学の時に購入したものです。

筆箱を買ったくらいの時、たまたま、テレビか何かで

「小1から小6まで、同じ筆箱を大事に使った子どもを、表彰している」という小学校があることを知りました。

私はその話に、結構感動し、☆にも「大切に使おうね」と話した記憶があります。

…とは言え、すぐ壊れるだろう、すぐ友達の真似をして替えたがるだろうとは思っていました。

実際、私自身も、小学校の時は、すぐに新しくて可愛い筆箱を幾度もねだって買ってもらってたし。

ところが、私の予想に反して、☆は大事に大事に、替えてとも言わず、2年と2ヶ月使っています。

今の小学校は、3年生から、布製やファスナー製の筆箱でもオッケーになるので、特に女子はほとんどそういうのに替えているそうです。

☆もたまに

「○○ちゃん、筆箱替えてた」

「○○ちゃん、すみっこぐらしの筆箱だよ」

と話していたので、その度に

「☆も替えたかったら、替えていいんだよ」

と伝えていました。

だって、私も昔は小3女子だったから気持ちわかるよ。

私だったら、即替えるから。人と違うことはしたくないから。

でも、☆はずっと

「私はこれがいい」

と言っていました。

本当は、替えたいのか。でも壊れていないのに替えるのが嫌なのか。6年間使うと自分で決めているのか。本当にこの筆箱が好きなだけなのか。

真意は分かりませんが、

とにかく、

筆箱を替えない☆に、我が子ながら、自分とは違うDNAをすごく感じていました。

他にも、「調理中、その都度使った調味料を元のところに戻す」とか「机の上を毎日きれいに整頓する」とかのDNAも、私の中には存在しません。いや、それくらいやれ、私

私から見たら、☆が、私から生まれていないような錯覚に陥ることがあります。

我が子ながら、本当に尊敬するところです。

筆箱の話。

とうとう、友達が☆に言ったそうです

「どうして☆ちゃんは、筆箱替えないの?」

もう、☆以外の学年の女子は、入学の時の筆箱なんて誰も使っていないそうです。

↑この質問に、☆がどう答えたかは聞けませんでしたが、その質問をされた事で、☆の気持ちに変化が起こりました。

「お母さん、私、筆箱替えよっかな」

「そう」

すごく意外なような、でもホッとしたような、残念なような、共感するような…色んな気持ちがしました。

私が小3女子だったら、「どうして☆ちゃんは、筆箱替えないの?」と質問をした側だからかな。

という訳で、この前の「女子―ズの買い物」で、お気に入りの、イマドキのファスナーの筆箱を購入しました。

でも、購入しただけで、持っては行かず。

そして、昨日ついに新しい筆箱を持って行っていました。

でも、しばらくは、交互に使うそうです。

☆にとって、この筆箱ってどういう存在なのでしょう?

私には到底分からない価値観がそこにあるような気がします。

我が子の気持ちが分からない。良い意味で。

小学校6年間一度も休まずに通うのも凄いけど、6年間同じ筆箱を使い続ける事も、同じくらい凄いことのように思います。製品の耐久性云々の話ではなく。

お互い全く違うベクトルの凄さだけど。

筆箱さん、ちょっと休憩中。

Tomoko Endo
ハルジオン店主
2021年から、雲南市加茂町の古民家で、家族四人と、保護犬一匹と暮らしています。

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